弊社は設立当初、業務用オリジナルソフトウエアの開発、販売でスタートしたのですが、それだけでは中々厳しく、元はソフトの販売だけだったサイトをこの形にリニューアルして修理・出張サポートのご依頼を受け付け始めました。
サイトリニューアル後、初めてのお客様が今回の中央区の法人様です。
パソコンはNECの少々古いディスプレイ一体型のWin98モデル。
突然起動しなくなり、メーカーサポートとやり取りしながら復旧を試みたそうだが、どうしても起動せず、東京のデータ復旧サービスに見積りを依頼すると、10数万円の金額がでたとのこと。
そこで早急に出張して欲しいとのご依頼をいただきました。
軽度な論理障害の場合はその場で救出できますが、重度な物理障害の場合は不可能な場合もあることを説明した上でお伺い。
このパソコンは、ディスプレイの台座部分の小さなスペースに各種ドライブ、マザーボードなどが押し込まれた省スペースモデル。
言うならば、ノートパソコンの上に液晶モニターを乗っけたようなつくりでした。
電源オンでBIOSは起動、BIOS上でもハードディスクを認識しています。
ハードディスクさえ取り出せれば、USB接続で何とかなるレベルと判断。分解にかかります。
底面のビスを全てはずし、金属パネルを撤去、フロッピードライブとCD-ROMドライブが見えますが、肝心のハードディスクは影も形も見えません。この分なら、マザーボードの上、液晶モニターとの間に2.5インチドライブが隠れているはず、と見当をつけてみます。
FDD、CDDと同時にマザーボードを固定しているビスを全てはずし、一気にマザーボードを筐体からはずしにかかる・・・・・・が、取れません。
こちらから見えないところで、頑固に筐体と咬み合っているようです。分解マニュアルでもあれば簡単ですが、リカバリCDさえない状況でマニュアルの存在など期待できず・・・。(仮にあっても分解方法が記載されていることなどありえないのですが)
ネットで散々検索してみましたが、古いレアな機種のため情報なし。
ここで、取り外しに悪戦苦闘している私を見かねたお客様から、天の声が・・・。
「どうせ、ハードディスク換装して再利用するつもりはないから、バキッといってよかですよ」
「ありがとうございます。お言葉に甘えます」
普段なら怖くて絶対にかけられないテンションをプラスティックの筐体にグイッとかけました。「メキッ!」嫌な音とともにマザーボードが外れて見慣れた2.5インチディスクが現れました。
もちろん、通常はこんなことは絶対にいたしませんのでご安心を。
これをお客様手持ちのもう1台の東芝ノートパソコンにUSBで接続。問題なくHDDは認識され、データは無事に東芝ノートに移行できました。
お客様からは「データがなくなると凄く困るところでした」と大変感謝していただきました。
駐車場からバッグを両手に提げて雨中に傘もさせずにずぶぬれになっての訪問で凹んでいた気分も一気に晴れ、めでたし、めでたし。
その後も事あるごとにご依頼をいただき、長いお付き合いとなるお客様との初めての案件でした。